「お前なんか勘当だ!」、相続はどうなる?
父「お前なんて勘当だ!」
子「上等だ。こっちから、親子の縁を切ってやる!」
そう言ってみたところで、養親子関係でない限り、法律上親子の縁を切ることはできません。時々ニュースで取り上げられる「DNA鑑定の結果、自分の子ではないことが判明!」という場面ですら、婚姻関係にある夫婦に生まれた子の場合、法律上は親子のままです。
そうなると、どんなに険悪な親子関係であっても遺産は子供に相続されてしまうのでしょうか。
上記の会話の親子の場合で、父が亡くなり相続が開始したとします。上記の発言以降、父と子に交流は一切ありません。しかし、子が相続放棄をしない限り、子は相続人となります。
では、どうすればよいのか。
法律上、親子の縁を切ることはできなくても、相続人から排除する手続きが用意されています。生前に自ら行うか、遺言に誰に手続きをして貰うか明記して「相続人の○○を廃除する」旨を遺す方法があります。
相続人の廃除手続きとは?
家庭裁判所に申し立てをする必要があり、排除するかどうかの審議が行われます。上記の会話では、発言に至るまでにどのような事があったのかわかりませんが、相続人が被相続人を虐待した場合や重大な侮辱を与えた場合など、認められるのは限定的です。単純に折り合いが悪い、等の理由では認められません。過去の判例では、親に無心を続けるなどの親泣かせを繰り返した子の廃除を認めたものがあります。
また、遺言で廃除手続きを行う場合には、きちんと遺言が発見されて手続きが開始されたとしても、ご自分の主張を家庭裁判所に述べることができません。その為、排除される側の相続人から異議申し立てがあるとなかなか認めらないのが実際のようです。どうしても許せない!というケースでは遺言ではなくご自身で手続きするのがお勧めです。廃除の取消しを遺言ですることもできますので、あらかじめ廃除の審判を得ておいて、のちに関係修復などの変化がある場合にも臨機応変に対応できます。